盲目的

 ぼくという人間に、彼女という存在が出来ることはこの先無いような気がする。もちろん、ぼくが人間嫌いだからというのもあるだろうし、ぼくには感情とか想いとかを相手に伝える能力が欠けていると、自己認識しているから。
 けれど、生まれたことに後悔はしたくはない。自分が他人よりも劣っているとは考えたくはない。わかっている事実から少しピントをずらして、ぼかす。一時的に見えないようにする。そうしないと、どうしようもなく、悲しくなってしまうから。
 わかっていても、わからないふりを、気づかないふりをし続けなければならない。