帰り道

 雨の日、学校からの帰り道。わたしはいつものように道草をして、田んぼ横の溝の中に葉っぱを投げ込んだ。雨の日だからうねるように水が流れていて、葉っぱは沈んだり浮かんだりしている。
 普段歩き慣れた道も、雨の日は水たまりが出来ていたり、視界が悪くて何となくいつもと違って見える。わたしは早歩きでその葉っぱについて行く。たまに葉っぱが溝に引っかかったりしたら、しばらくじっと流れるのを待ったりした。あ、今、ちょうど引っかかった。
 なので、しばらく待っていると、遠くからカッパが流れながら浮き沈みしているのに気づいて、わたしは見なかったふりをした。前びっくりして、話しかけてみたら、カッパから見なかったことにしてください、ってお願いされたから。雨の日にはよくあること。きっと恥ずかしいんだと思う。
 川じゃないから別に恥ずかしくない気がするけど、プライドがあるせいかもしれない。そんなの気にしなくてもいいのに。
 カッパが葉っぱに引っかかる。やっと、葉っぱが流れ始めたので、わたしはそれについていく。カッパと葉っぱはどこまで流れていくのだろう。ずっとずっと、わたしはそれについていく。