今日は遠足に行けない。

 流行病にわたしはかかってしまって、一人ベッドの中で丸まっていた。あー、もう嫌になっちゃう。明日は遠足だったのに。あーもうあーもう。一般的によく言われる前日の興奮は抑えることが出来なくて、すごくもやもやする。まったく、もう! わたしはうんざりして、早く寝ようとねようといろいろ考える。お布団の中はとても暖かくて心地が良くて好きだけど、今はあんまり好きじゃない。なんだかなあ、って思う。
 お布団の中は真っ暗で、いろいろ想像することが好きなわたしはちょっぴり想像力を働かせてみる。そうすると、少しずつ自分の足場が失われて、布団との距離感がなくなってくのを感じた。まるで自分が宇宙服を着せられて、宇宙にほっぽり出された気分になってくる。なんだか息苦しいよ。もう、わたしに酸素が供給されてないことはわかってる。だから、できるだけ呼吸をしないようにしないと。だけど、しちゃう。自分の呼吸する音と、心臓の鼓動する音。それだけが聞こえる。もうわたしがこのまま死んでしまうことはわかってる。だから怖がることはないってわかってるけど、体がガタガタ震えてくる。嫌だ、まだ、死にたく、ない。死にたく、ない。酸素の量がとても少なくなってきたみたいだ。ずっとアラームが鳴り続けている。ぴりりりりり。ぴりりりり。
 そしてわたしは、時計の音で目を覚まして朝を迎えた。今日は遠足に行けない。