Destiny
「先輩ここ、暑くないですか?」とぼくを保健室に連れてきた少女は言い出した。彼女はぼくを備え付けのベッドに押し倒した後、覆い被さる。そして自身の前のボタンに手をかけて、そのまま一つ一つボタンを外しはじめて……。
なーんってことがなー、なーんってことがなー。あればなー。すっごいテンション上がるのになー、と。ぼくはぼんやりと一人教室で外を眺めながら夢想する。
しかしながら、平凡な人生を送っている以上、ドラマティックなことは起きることもないわけで。そんな夢みたいなこと、あるはずもなく。
ああ、なんて悲しい人生なんだ。死にたい(死なないけれど)。
まあ、そういうドラマティックな出来事が誰にでもあるかといえば、あるはずもないんだけどね。ったく。なんだかなあ、とぼくは思うのである。まったくどうにかしてよ。もう。
教室にはもう誰もいない。いるのはぼくだけ。
ぼくは誰かを待っている。ぼくをここから連れ出してくれる誰かを。
けれど、誰も、ぼくを、連れ出して、くれない。
永遠に、永遠に、永遠に。