女子高生

 わたしは女子高生を家に連れ込んで。麻婆豆腐を作るように強要した。彼女は道ばたでぼんやり空を眺めていたし、たぶん暇だろうと思ったからだ。もちろん料理を強要したのは、毎日自分で料理していていい加減めんどくさいなー、人にしてもらった方が楽だなー、なんて。いい加減結婚して主婦になるべきなんだろうけど、男はろくでもないから嫌だし。そういう、普段からの鬱憤がいろいろたまっていたせいだ。
「わわわわ、わたし、麻婆豆腐の作り方、わ、わかんないです……」
「材料と麻婆豆腐の素はちゃんと用意したんだから説明書見なよ。考えなよ」
 パッケージを突きつけ、女子高生にすべてをまかせて読書を始める。
 しばらくすると女子高生はどうにかこうにか作り上げたようで、家の中にはとてもいい香りが広がった。わたしはふと顔を上げるとそこには女子高生がいて。彼女は満面の笑みをしながら、テーブルに座るように私を促す。
 そうして私たちは、できあがったばかりのところてんを食べた。