無題(1)

限りあるものに、ぼくらは悲しみをいつだって覚えるものだ。たとえば、かき氷を食べている時。永遠に続くと思われた祝福の時は、冷たさのキーンという頭痛と共にすぐさま消え去っていく。そうやって、ぼくは、ただただ夏の熱い日差しを背に、何もなくなった…

idVENTURE

どこかで見たidにぼくは思いを馳せながら、君はどこの誰だったかとパソコンの前で思い出そうとする。そう簡単には思い出せない。 デジャビュ的なものかもしれないから、しっかり考える必要がある。何となく見たことがある、そういうのじゃあ、だめなんだ。ぼ…

帰り道

雨の日、学校からの帰り道。わたしはいつものように道草をして、田んぼ横の溝の中に葉っぱを投げ込んだ。雨の日だからうねるように水が流れていて、葉っぱは沈んだり浮かんだりしている。 普段歩き慣れた道も、雨の日は水たまりが出来ていたり、視界が悪くて…

プラスチックの悪魔

プラスチックの悪魔をご存じ? あたしは知らないんだけど、隣に住んでるおじいちゃんがいつもあたしに聞いてくる。 「プラスチックの悪魔って何だ?」 知りません、知りません。なんですか、それ! って言いたくなるんだけど、やっぱりおじいちゃんは大切に…

眼科

見えるというのは一般的にあまりよくないことで、なぜかと言うと見たくもない物をうっかり見てしまう、そういうことが往々にして良くあるからだ。 昔、おれがコンタクトレンズを作ろうと思って眼科に行ったときのこと。その眼科に行ったのは、すごく美人のお…

たまにギアが勝手に変わる

「難儀やね」 上り坂で。ギアチェンジを必死でしながら自転車を走らせている時に、通りすがりのおじいちゃんに言われた。今は3ギアです。なんちゃって!

それはオマージュ?

オマージュとパクリの境界線がわからない。オマージュだと言えば何だって許されると考えるパクリ屋は嫌いだ。

無題

呪文のようにしあわせになりたいとつぶやき続ける少年はあっという間に大人になり、そのまま電柱に頭をぶつけて記憶喪失。目が覚めると病院のベッドの上で。「あなたはずっと眠っていたのよ」と椎名林檎の歌に出てくるような格好のナースはつぶやく。それを…

浮いた話

浮いた話がまったくないから、ぼくは失格らしい。 馬鹿にされて、ぼくは、意味が全くわからなくなった。

疑似閉鎖空間

朝起きて冷蔵庫を開けると魚肉ソーセージがあったので食べた。一本ではもの足りないから二本目を口にして、あー、ダイエットしなきゃだった、とわたしはもぐもぐしながら、うんざりする。 まず、テレビとパソコンの電源を入れる。次に、一日中つけっぱなしに…

女子高生

わたしは女子高生を家に連れ込んで。麻婆豆腐を作るように強要した。彼女は道ばたでぼんやり空を眺めていたし、たぶん暇だろうと思ったからだ。もちろん料理を強要したのは、毎日自分で料理していていい加減めんどくさいなー、人にしてもらった方が楽だなー…

天敵

生きる上で誰しも天敵というものは存在していて、わたしの場合、やつこそが天敵であると思っている。やつがこの世にいるだけでわたしの心は憎悪で満たされて、普段はその憎悪を押さえようとする理性が瞬間的に万力で押しつぶされる感覚に陥る。そういうわた…

ファン

自分の通った道の後ろをついてくるのはよしてくれ。私の歩こうと思っている道の前を先に歩くのはやめて。あなたは私から何もかも奪おうとしているの? 「ファンですから」

ぼく

ぼくが消えることで世の中の様々なものや人が安定する可能性を考慮してみよう。そして瞬時にそんなことを考える以前に、自分が世の中の様々なものや人に関わっていない事実は明白であったということに気づく。つまりは消えても安定に関われることはまったく…

価値

わたしは自分を過大評価しすぎてた。消えてしまいたい。 ううん。そもそも、自分には評価できる所なんてなかった。 なにもなかったの。

無題

ぼくには好きな女の子がいて。 その子が自分の男友達の家に行くということを知り、ぼくは様々な想像を働かせてしまった。なぜなら、彼女がその男を好きだということ。以前にそういう出来事があったということ。 直接的にそれが何かを言う気はさらさらないけ…

わたしの王子様

期待をするから多くの場合その結果に絶望するわけで、そもそも期待をしなければよい。 なーんて、いろいろ考えてみて、わたしが誰かに愛されることなんてあり得ない、ということを出来るだけ合理的に割り切ろうとしても、出来なくて。 やっぱり愛されたいな…

ひとり相撲

おれは何をしても結局ひとり相撲でしかないのだろう。 そうだ。それがおれのさだめ。そう思うことで自分にはどうすることもできない何かによって、おれは支えられ、生きているのだと勝手に想像する。 永遠におれはどうすることもできないのだ。

誰もいない

このよに おれをたすけてくれるひとなんて いない。

こたつ

寒い。寒すぎ……と、自分の部屋にこたつを設置してみた。こたつの中だとめちゃめちゃ暖かくて、居心地がとってもよくて。ついあたしは猫みたいに丸まってしまう。だってぬくぬくだよ? と訳もわからず宣言して、あたしは少しだけ自慢げだ。 うーん。こたつの…

単純

悲しさでいっぱいだったぼくは、彼女のフォローによってそれなりに元気を取り戻した。一瞬先は闇ならぬ光である。まったくもって自分は単純だなあ、としみじみ思う。でもやさしいんだもの。やさしいんだもの。やさしいんだもの。大好きなんだもの。

悲しい

あんまりにも悲しいので布団の中に篭もって泣いてみたけれど、いっこうに悲しさは取れなくて、いろいろ考えてみるに、ぼくの知らないところで何かがあって、ぼくはもう必要がない、ということなのかもしれない。ああ、悲しい。悲しい。悲しい。悲しい。悲し…

ネガティブ

おれがネガティブで何が悪いおれがネガティブで何が悪いおれがネガティブで何が悪いおれがネガティブで何が悪いおれがネガティブで何が悪いおれがネガティブで何が悪い。 そう頭の中でリピートしていたら、唐突に車に轢かれて驚いた。完全な前方不注意。そう…

盲目的

ぼくという人間に、彼女という存在が出来ることはこの先無いような気がする。もちろん、ぼくが人間嫌いだからというのもあるだろうし、ぼくには感情とか想いとかを相手に伝える能力が欠けていると、自己認識しているから。 けれど、生まれたことに後悔はした…

のろけ

『うちの彼氏が』というのろけが大部分な日記を見てあたしは吐きそうになる。その理由はもちろんあたしに彼氏がいないからである。なんか文句あるか。あー、わかってます。わかってますよ。あたしだって、こう、のろけてみたいんですよ。大好きなダァと一緒…

Destiny

「先輩ここ、暑くないですか?」とぼくを保健室に連れてきた少女は言い出した。彼女はぼくを備え付けのベッドに押し倒した後、覆い被さる。そして自身の前のボタンに手をかけて、そのまま一つ一つボタンを外しはじめて……。 なーんってことがなー、なーんって…

モスバーガー

今日は夕方くらいにモスバーガーさんを食べましたっ。お友達のみいちゃんと一緒にお買い物に行きまして、モスチーズバーガーさんにオニポテセットで。それに今日は特別にオニオンリングだけも頼んじゃいました。あわわっ。か、かろりー……(いいんですっ、た…

むらた おひるね

寝癖

朝起きると、私の寝癖はたまにサリーちゃんのパパさんみたいになりますー。てくまくまやこんてくまくまやこんっ。

階段の音

私の住んでいるお屋敷には階段がたくさんあります。なので寝ている時に、人が階段を上り降りする時に出る、あの床がきしむ音がたまに聞こえたりして。少しだけドキッとする時もありますっ。そんな時は「幽霊さんっ? あわわわ……あっ、でも幽霊さんより人のほ…